2014年2月11日火曜日

●『レジリエンス 復活力‐あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』(アンドリュー・ゾッリ/アン・マリー・ヒーリー 著 須川 綾子 訳 ダイヤモンド社 2013)

自然災害や人為的な大事故、金融危機やエネルギー危機などによって、個人や企業などの組織、コミュニティを取り巻く環境や状況が大きく変化する可能性がある。
そうした「状況変化へ対応する能力」を「レジリエンス」と呼ぶ。

優れたレジリエンスを育て、発揮するためにはどうすべきか。
本書は森林などの生態系や企業やコミュニティにおける実例をもとに、理論的に検証している。

興味深かったのは、優れたレジリエンスを発揮するコミュニティには、それを支える特定のタイプのリーダーが存在する、ということだ。
彼らは人々を結びつける卓越した能力をもち、政治的、経済的、社会的立場の異なるさまざまな組織のあいだに協力関係を築く。そして相互の交流の橋渡しをする。

彼らは、明確なビジョンを掲げる剛腕タイプの CEOとも、大胆に決断を下し采配を振るう政治家とも違う。
また、一般大衆の意見を汲み上げ提示する草の根活動家とも違う。
彼らは組織階層を自由自在に乗り越えて柔軟に働きかけ、各関係当事者が互いに理解し合うための通訳を務める、いわば「通訳としてのリーダー」である、と紹介されている。

混乱に見舞われたとき、このようなリーダーの存在が有事を平時に変えていく可能性がある。
これから求められるリーダー像を考えていく上でも、「レジリアンス」の視点は大いに参考になる。

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